Shionの革

革はよくイキモノに例えられます。使っているカドがとれて柔らかな風合いとなり、濃淡が表情として現れ、マットな部分と滑らかに光沢を放つ部分のコントラストができてきます。持つ人の時の流れと共に変わり、熟成してゆく。Shionの製品には、長年革製品の製造に携わってきた経験から、厳選した革素材を使用しています。ここではShionの革について紹介いたします。

ブライドルレザー:英国が生んだ馬具用堅牢レザー

ブライドル(Bridle)とは、馬具の頭絡から手綱にハミを含む総称である馬勒のことで、騎手が馬を操り、バランスを取るための重要なものです。したがってこれが切れたりすると落馬の危険があることから、他の革以上に堅牢な革として開発・使用されたものがブライドルレザーと言われています。ブライドルレザーは植物のタンニン(渋)によって鞣され上がるタンニンレザーの一種ですが、その後手仕事により牛脂や蜜蝋(ワックス)を革の繊維まで丹念に擦り込むことによって完成します。

牛脂や蜜蝋(ワックス)が表面だけでなく、革の内部にもしっかり擦り込まれているブライドルレザーは、繊維組織の強度を高めるため、引っ張り強度や耐摩耗性などに優れており、普通の引っ掻き傷なら指先で擦るだけで、そのほとんどを目立たなくできます。また撥水効果も併せ持っているのでブライドルレザーは一般的な革に比べて雨にも強くなっています。ただし完全防水ではないので、濡れたまま放置するとシミが出ることもあるので、濡れてしまったら、すみやかに乾いた布で水気を取ってください。Shionで使用しているブライドルレザーは、この擦り込み時にできる刷毛目を敢えて残し、独特なデザインの要素として活かしています。

ブライドルレザーは使うほどにしなやかになり、色も深まり美しい光沢が現われて、未使用時とはまるで異なる表情に変化します。このエイジング効果もタンニン鞣しとオイル&ワックスの効果によるものです。Shionのブライドルシリーズをより楽しんでいただくには、あえて表面のブルームを拭き取らず、自然に消えていく過程を楽しみ、一ヶ月に一度程、折り部分やコーナーなどお手入れをしていただくことでより美しい表情に育てることができます。表面部分が乾いてきたら、専用ワックスやクリームでオイル成分を補ってください。